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区分所有権とは ― マンションなど共同住宅の権利関係と管理の基本

Taro 2025年10月18日
目次

  • はじめに
  • 区分所有権の基本構造
  • 区分所有法の概要と原則
  • 管理組合と意思決定
  • 賃貸・投資との関係
  • 主なトラブル事例
  • 管理不全マンション問題(法改正対応)
  • まとめ
  • 用語紹介

はじめに

マンションなどの共同住宅では、一棟の建物を複数人が所有する「区分所有」という形態が一般的です。この権利関係は、通常の一戸建てとは異なり、専有部分と共用部分を区別しながら管理・運営を行うという複雑な仕組みを持ちます。本記事では、区分所有権の基本構造から管理組合の役割、近年の法改正までを、賃貸オーナーや管理担当者の視点でわかりやすく解説します。

区分所有権の基本構造

区分所有権とは、建物の特定部分を単独で所有できる「専有部分の所有権」と、他の区分所有者と共同で持つ「共用部分の共有持分」が一体となった権利です。さらに、建物の敷地利用に関する「敷地利用権」も含まれ、これら三つの権利は切り離して譲渡できません。

  • 専有部分: 各所有者が単独で所有・使用できる部分(例:各住戸の内部)。
  • 共用部分: 全員が共同で利用・管理する部分(例:廊下、屋上、外壁など)。
  • 敷地利用権: 建物の敷地(底地)に対して有する権利。区分所有権と分離不可。

区分所有法の概要と原則

区分所有建物の権利や管理運営は、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」によって定められています。主な内容は次のとおりです。

  • 管理組合の設置: 区分所有者全員で構成される団体として、建物の維持・修繕・運営を担います。
  • 規約と使用細則: 共用部分の使用ルールや管理費の負担方法などを定める内部ルール。総会での承認が必要です。
  • 意思決定: 区分所有者の多数決で決議されますが、重要事項は特別決議(4分の3以上)や全員一致が必要です。

なお、専有部分と共用部分の区別をめぐるトラブル(例:バルコニーや窓枠の修繕負担)は、判例でもしばしば争点となります。

管理組合と意思決定

区分所有建物では、建物全体の管理を行う「管理組合」が中心的役割を担います。理事会の設置、定期総会の開催、修繕積立金の運用など、実務的な意思決定はこの組織を通じて行われます。

主な決議の種類

  • 普通決議: 管理費の予算・会計など一般的事項(過半数で可決)。
  • 特別決議: 大規模修繕・用途変更など(区分所有者および議決権の4分の3以上が必要)。
  • 全員一致: 建替え・分譲地変更など、建物全体に関わる重要事項。

こうした意思決定のプロセスを理解し、議事録や議案内容を適切に把握することが、所有者・オーナー双方にとって重要です。


賃貸・投資との関係

区分所有建物の一部を賃貸する場合、オーナーは「専有部分の貸主」としての責任を負います。一方で、共用部分の維持管理は管理組合の業務範囲となるため、トラブルが起きた際には対応の線引きが必要です。

  • エアコンや給排水トラブルは、専有部分の範囲に属する場合が多い。
  • 廊下や外壁、屋上からの漏水は共用部由来であり、管理組合による対応となる。
  • 入居者からのクレーム対応では、管理組合への報告ルートを整備しておくとスムーズ。

また、投資用区分マンションでは、老朽化・修繕積立不足・空室リスクなどの課題があり、物件選定時には管理体制の健全性を重視することが肝要です。

主なトラブル事例

  • 修繕計画への不同意・反対による工事の遅延。
  • 管理費や修繕積立金の滞納による財政悪化。
  • ペット飼育・騒音・リフォームなど、使用ルール違反に関する紛争。
  • 理事会運営の不透明化や不正会計問題。

これらの問題は、規約や総会議事録の整備不足、または意思疎通の欠如が原因となることが多く、定期的な情報共有と透明性の確保が解決の鍵となります。

管理不全マンション問題(法改正対応)

2024年の法改正により、「管理不全マンション」への行政関与が強化されました。老朽化や組合機能の停止により、適正な管理が行われていない建物が増加したためです。

  • 指導・勧告制度: 管理が著しく不十分な場合、自治体が助言・命令を行うことが可能に。
  • 届出義務: 管理組合が存在しない・機能していない場合、区分所有者が状況を報告する義務。
  • 建替え円滑化: 全員一致ではなく5分の4の同意で建替えを決議できる特例が設けられた。

これにより、老朽化マンションの放置や倒壊リスクを未然に防ぐことが期待されています。

まとめ

区分所有権は、「自分の住戸を所有する」という権利でありながら、同時に建物全体を維持する責任も伴います。専有部分と共用部分の境界を正しく理解し、管理組合の意思決定に積極的に参加することが、資産価値の維持と良好な住環境づくりにつながります。法制度の変化にも注目しながら、長期的な視点での管理・運営を心がけましょう。

用語紹介

区分所有権
建物の特定部分を単独で所有する権利と、共用部分の共有持分を併せ持つ権利のこと。
専有部分
各所有者が単独で使用できる建物内部の部分。居室・台所・浴室などが該当する。
共用部分
廊下・階段・屋上など、全区分所有者が共同で使用・管理する部分。
管理組合
区分所有者全員で構成される建物の管理団体。総会・理事会を通じて運営される。
管理規約
建物の使用・管理に関するルールを定めた文書。総会で承認され、全員に効力を及ぼす。
修繕積立金
将来の大規模修繕に備えて各所有者が定期的に拠出する資金。
管理不全マンション
管理組合が機能不全に陥り、適正な維持管理が行われていないマンションを指す。

著者について

Taro

Administrator

首都圏在住。管理会社に勤務し、賃貸管理業に従事しています。 事業主側で不動産売買と収益物件の管理を経験し、その後、現在の管理会社に転身しました。 保有資格: 宅地建物取引士 賃貸不動産経営管理士

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